あなたはデジタル商品を売る個人事業主として、セールスファネルにどうやって見込み客を惹きつけたらいいのか悩んでいませんか?そんなあなたに、セールスファネルの入り口となるリードマグネットの作り方をお伝えします。ここでは、リードマグネットを効果的に活用するための3つの重要な要素を紹介していきます。
セールスファネルは、見込み客との関係を段階的に築いていく仕組みです。その最初の段階で重要な役割を果たすのが、リードマグネットです。リードマグネットとは、見込み客があなたから手にする無料のコンテンツのことです。このリードマグネットを通じて見込み客を教育し、最終的にバックエンド商品を購入してもらうのが狙いです。では、効果的なリードマグネットを作るために必要な3つの要素とは何なのか、それを詳しく見ていきましょう。
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リードマグネットはバリューラダーの入り口である
リードマグネットについて説明する前に、まずはバリューラダーという概念について紹介させてください。バリューラダーというのは、お客さんとの関係を段階的に築いていく仕組みのことです。バリューラダーは、ClickFunnels社の創業者であるラッセル・ブランソン(Russell Brunson)氏によって考案された概念です。これは、顧客との関係性を段階的に築いていく仕組みを表しています。具体的には、顧客に提供する商品・サービスを、価格と価値の順に階段状に並べたものを指します。
なぜバリューラダーと呼ぶのでしょうか?それは、顧客があなたのビジネスという建物の中を、階段を上るように段階的に進んでいくイメージだからです。例えば、無料の情報提供から始まり、低価格の商品、そして高額なサービスへと、見込み客に提供する価値を徐々に上げていきます。顧客があなたのことを知らない状態から、無料の資料を請求し、その後低い価格の商品を買う。そうして段々と高い価格の商品を買っていく。この一連の流れがバリューラダーなのです。
初めてのお客さんにいきなり高額な商品を売ろうとしても難しいですよね。そのため、まずはハードルの低い無料や低価格からスタートする。そしてお客さんがあなたの商品に価値を感じて気に入ってくれたところで、次の少し高い商品を売る。これを繰り返していくという考え方がバリューラダーです。低価格帯から高価格帯の商品・サービスを段階的に提供することで、顧客との長期的な関係を構築し、LTV(顧客生涯価値)を最大化することができます。
バリューラダーのことをセールスファネルと言い換えることもできます。セールスファネルはバリューラダーの概念をより具体的に表現したものです。バリューラダーを実現するためにセールスファネルを作るといっても良いでしょう。こうして考えてみるとバリューラダーという概念は、セールスファネルを作るためのツールを提供しているClickFunnels社のラッセル・ブランソンならではの発想と言えます。
そして、バリューラダーの入り口となる重要な役割を担っているのがリードマグネットです。リードマグネットとは、顧客のメールアドレスなどの連絡先情報を獲得するために提供する無料のオファーのことです。その多くが無料のeBookやワークシート、テンプレート、チェックリストなどのコンテンツです。リードマグネットにはたくさんの種類があり、無料のメール講座、ウェビナーなどもリードマグネットに含まれます。
リードマグネットはバリューラダーの最初の段階であり、見込み客との関係構築の第一歩となります。このリードマグネットの中で、見込み客にとって価値のある情報を提供することで、見込み客との信頼関係を築くことができます。信頼関係が高まれば「石崎さんの情報はいつもすごいな」と思ってもらえるようになり、将来的に商品を買ってくれるような顧客へと育てていくことが可能になります。
リードマグネットを作るための3つの要素:フック・ストーリー・オファー
では次に気になるのが「リードマグネットの中身はどんなものにしたらいいのか?」ということでしょうか。見込み客がリードマグネットを通して、バリューラダーを駆け上がるようにする必要があります。つまり次のステップである有料商品がほしくなるように魅力的なコンテンツを提供する必要があります。そのためには「フック」「ストーリー」「オファー」の3つの要素を意識することが重要です。これらの要素を1つ1つ見ていきましょう。
まず1つ目は「フック (Hook)」です。これは見込み客の注意を一瞬で掴むキャッチコピーのことを指します。リードマグネットのタイトル、リードマグネットを見せるオプトインページの見出し、キャッチコピーなどで、見込み客の注意を惹きつけ、興味関心を高めるのです。見込み客が抱える問題や悩みを明確に示し、解決策を提示することで、リードマグネットを読みたいと思わせることができます。
効果的なフックの例としては鋭い質問を投げかけたり、問題提起をしたり、驚くべき統計データを示したりすることが挙げられます。例えば、「あなたのメルマガ配信、開封率は何%ですか?業界平均は〇〇%です」といった具合です。また、「たったX日で〇〇を習得できる方法」のように、時間や労力を節約できることをアピールするのも効果的でしょう。
2つ目は「ストーリー (Story)」です。リードマグネットの中ではフックで約束したノウハウや知識を説明するのですが、その際に意識すべきなのがストーリーです。ノウハウや知識をただ羅列するのではなく、あなた自身の経験談や、顧客の成功事例などを交えながら、リードマグネットの内容をストーリー形式で伝えるのです。
ノウハウや知識をただ羅列するだけでは、人間の心はなかなか動きません。例えばブログを考えてください。あなたが海外移住、ここではポルトガル移住について検索したとします。そこで1つの記事に行き当たりました。記事の内容は詳しいのですが、ただ事実やデータが綺麗に整理されているだけです。そういう記事だと、ただの情報源で終わってしまい、そのブログをずっとウォッチしようとは思わないでしょう。戻るボタンを押して、すぐに検索エンジンに戻ってしまう人が多いはずです。
でも、そこにポルトガルでの生活やポルトガルに移住した経緯などが書かれていたらどうでしょうか。例えば「日本での息苦しい社会に疲れて、海外を放浪していた。そこでポルトガルの太陽や海に魅せられて移住してしまった」といった具合です。これは実は半分は僕の話です。でもこんな話を書かれたら、少なからず共感する人が出てきます。きっとそのブログのファンになる確率も上がるはずです。だからこそノウハウを伝える際も、感情に訴えかける要素であるストーリーに載せて伝えることが大切なのです。
見込み客が感情移入できるようなストーリーは、あなたに対する共感と信頼を生み出し、リードマグネットの価値を高めてくれます。例えば、自分が過去に抱えていた悩みや問題、そしてそれをどのように克服したのかを語ったり、あなたの顧客が商品やサービスを利用して成功した事例を紹介したりするのが効果的です。また、商品やサービスが生まれた背景や制作秘話を語るのもいいでしょう。
3つ目は「オファー (Offer)」です。リードマグネットの最後には、見込み客に次の行動を促すためのオファーを提示します。順番としてはバリューラダー上で次に来る低価格の商品などが最適だと思います。低価格の商品やサービスの購入、無料の製品トライアル、無料のZoom個別相談やオンラインセミナーへの参加など、見込み客にとって魅力的なオファーを用意するのです。リードマグネットを受け取った人限定の割引クーポンを配るのも喜ばれると思います。見込み客にとって次のステップが明確で、行動に移しやすいオファーを提示することが重要です。
事例:ラッセル・ブランソンの『108 Proven Split Test Winners』
さてでは、リードマグネットの具体的な事例として、ラッセル・ブランソンのeBook「108 Proven Split Test Winners」を紹介します。この書籍は、108回のスプリットテストの結果をまとめたマーケティング書籍で、起業家やマーケティング担当者をターゲットとしています。スプリットテストとは日本語で言うABテストのことです。AのページとBのページで、どちらが成約率が高かったかをまとめたものです。
これを題材に効果的なリードマグネットとしての要素を分析してみます。まずフックとして「108 Proven Split Test Winners」というタイトルが挙げられます。これは「ABテストをひたすらやってみて、成約率を高くするためのコツを108個集めてみました」という内容です。具体的な数字と成果を示唆することで、ターゲット顧客の注意を引きつけているのです。
またリードマグネットをもらうためのオプトインページでは、このリードマグネットの中に書いてる細かいコツを実践すればセールスファネルからの売上が増えることが宣伝されています。セールスファネルの改善のアイデアだけでなく、それを使えば売上が伸びるというフックです。これは十分魅力的なフックとして機能しているのが分かると思います。
次にストーリーです。このeBookの中にはたくさんのABテストのデータが載っています。その中には他社のマーケターが実験したデータもあります。でもデータの多くがラッセル・ブランソン自身が実際のファネルで試したものなんです。またeBookの中には彼のコラムもあります。例えば、ある商品で広告費を3000ドルかけて売上が700ドルしか出なかった、というような失敗談もあります。
その商品のセールスファネルを改良して、広告費を5000ドルかけて再挑戦したけど売上は2000ドルでまたしても赤字。そういう試行錯誤の中から「こういうABテストのデータが得られました」というような話が載っていたりします。こういうストーリーが入っているからこそ、データにリアリティが出るし、みんなラッセルに共感するのだと思います。
最後にオファーです。これは割とシンプルです。ラッセル・ブランソンはセールスファネルを作るツールClickFunnelsの会社をやっています。なのでeBookの中のオファーはClickFunnelsの契約です。ClickFunnelsの契約をさせるための口実として、本書のテーマであるABテストを使っています。つまり書籍の内容を実践するために、ClickFunnelsを使いませんか?というオファーです。フックとストーリーで興味を引いた読者に、次のステップとなるオファーを提示しているのです。
リードマグネットのテーマによって集まる客層は変わる
リードマグネットを作る上で重要なのは、提供するリードマグネットの内容によって、惹きつける見込み客の層が変わるということです。リードマグネットは理想の見込み客を引き寄せるためのフィルターと言えます。理想の見込み客像を明確にし、彼らにマッチするようなリードマグネットを作成することで、思った通りの見込み客を集めることができるのです。
例えば、先ほどの「108 Proven Split Test Winners」の例では、「スプリットテスト」をテーマにしています。このキーワードを含むリードマグネットは、どちらかというと既にマーケティングやビジネスをやっているような見込み客を引き寄せます。一方で、例えば「初心者向けアフィリエイトガイド」のようなリードマグネットは、全く異なる見込み客層を引き寄せることになります。
「初心者向けアフィリエイトガイド」の場合、ただラクしてお金が欲しいだけの人や副業目的の会社員を引き寄せると思います。でも、もしあなたがフリーランスや個人事業主をターゲットにしたいのであれば、このリードマグネットのテーマはあなたのビジネスには合わないはずです。ラッセルの場合は、リードマグネットで扱っているスプリットテストというテーマと、彼のセールスファネルのビジネスが合致しているのです。
このようにリードマグネットを作るときには、その中で扱うテーマにも注意してください。自分のペルソナに合うものになっているか?変なお客さんを引き寄せることにならないか?思い出してください。リードマグネットはバリューラダーが始まる最初のポイントです。ここで方向性が異なると、せっかくリードマグネットで見込み客を集めてもバックエンド商品までつながりません。リードマグネットを作るときにはあなたのオファーする商品群に合ったものを作るように心がけてください。
まとめ:リードマグネットは顧客との関係構築の第一歩
ここまでリードマグネットの重要性と効果的な作り方についてお伝えしてきました。最後に要点を5つにまとめました。
- リードマグネットはバリューラダーの入り口となり、見込み客との関係構築の第一歩である。
- 効果的なリードマグネットを作るには、フック、ストーリー、オファーの3つの要素を意識することが重要である。
- フックは見込み客の注意を掴むキャッチコピーやタイトル、ストーリーは共感と信頼を生み出す要素、オファーは次の行動を促すものである。
- リードマグネットのテーマによって引き寄せる見込み客の層が変わるため、理想の顧客像に合わせたテーマ選びが重要である。
- リードマグネットはバリューラダーの最初のポイントであるため、後続の商品やサービスとの整合性を考慮して作成する必要がある。