あなたは高額商品を扱うビジネスオーナーやマーケターとして、なかなか成約に結びつかず悩んでいませんか?そんなあなたに、顧客心理を巧みに利用した「アンボクシングファネル」という販売戦略をご紹介します。ここでは、特にベストセラー書籍「Expert Secrets」で実際に展開された戦略を深掘りし、高額商品の販売を成功に導くための具体的な方法を解説していきます。
オンラインビジネスにおいて、高額商品の販売は大きな課題となっています。優れた商品やサービスがあっても、価格の壁に阻まれて思うように売上が伸びない。商品の価値を知ってもらえれば売れるはずなのに、なかなか理解してもらえない。そんな経験をされている方も多いのではないでしょうか。実はその解決策として注目を集めているのが、商品を段階的に提供していく「アンボクシングファネル」という戦略です。ここからは、この革新的な販売手法について、実例を交えながら詳しく見ていきましょう。
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なぜ高額商品は売れないのか?:バリューラダーの必要性
高額商品を販売する際、多くの企業やビジネスオーナーが直面する課題があります。それは、どんなに優れた商品やサービスであっても、いきなり高額な価格で提案してしまうと、顧客は購入をためらってしまうということです。では、なぜ高額商品は売れないのでしょうか?その最大の理由は、顧客との関係性構築が十分でないことにあります。大きな利益マージンを狙うために、見込み客に対していきなり高額商品を提案してしまっているケースが多いです。
これは顧客にとって大きな心理的ハードルとなり、購入を躊躇させる原因となっているのです。そこで重要になってくるのが「バリューラダー」という考え方です。バリューラダーとは、顧客との関係性を段階的に深めながら、提供する価値を徐々にステップアップさせていく戦略のことです。例えば、最初は無料の情報提供から始めて、少し気に行ってもらったら低価格の入門商品を買ってもらう。
低価格の商品である程度満足してもらって初めて、中価格の応用商品、そして最終的に高額の本格的なサービスへと、顧客を自然な流れで導いていく。こういう段階的に価値を感じてもらいながら、買ってもらう商品の価格を上げていく。これがバリューラダーという考え方です。
このアプローチの利点は、顧客が自分のペースで商品やサービスの価値を確認できることにあります。無料コンテンツや低価格商品で満足した顧客は、自然とより価値の高い商品やサービスに興味を持つようになります。バリューラダーは、このように顧客との信頼関係を築きながら、段階的に価値を提供していく仕組みなのです。
購入のハードルを下げる「アンボクシングファネル」とは?
ここでアンボクシングファネルというセールスファネルを紹介します。アンボクシングファネルとは、高額な価値を持つパッケージ商品を、顧客が手に取りやすいように複数の低価格商品に分割し、段階的に提供していく販売戦略です。この手法は、ClickFunnels社のラッセル・ブランソンがFunnel Hacking Liveというイベントでのプレゼンテーション準備中に考案したものです。
高額商品を複数に分割して、それを1つずつ買っていってもらう様子を見てこう思ったそうです。「まるでプレゼントの中身を1つずつ確かめながら、次々と開けていくみたいじゃないか」と。Unboxというのは箱を開けるという意味です。ここから、アンボクシングファネルという名前が生まれました。
各段階で提供される商品は、最終的な高額商品の「一部」となっています。これにより顧客は、自分のペースで商品の価値を確認しながら、徐々により高額な商品へと進んでいくことができます。まさに、大きな箱の中身を一つずつ開封していくような感覚で、商品やサービスの価値を体験できるのです。
アンボクシングファネルはバリューラダーを実践する道具の1つ
アンボクシングファネルが持つ最大の特徴は、顧客にとって心理的なハードルを大きく下げることができる点です。高額商品をいきなり提案するのではなく、まずは手頃な価格の商品から始めることで、顧客は安心して購入を検討することができます。これは、リスクを最小限に抑えながら、商品やサービスの価値を確認できるという大きなメリットになります。
また、顧客は自分のニーズや状況に合わせて、必要な商品だけを選択することができます。例えば、基礎的な内容を学ぶ書籍から始めて、より詳しい知識が必要になった時点で追加の教材を購入する、といった柔軟な選択が可能です。このように、顧客のペースに合わせた購入ができることは、長期的な信頼関係を築く上で重要な要素となります。
さらに、金銭的な負担を分散できることも大きなメリットです。高額商品を一括で購入する場合と比べて、段階的に支払いを進められることで、顧客の財務的な負担感を軽減することができます。これは特に、予算に制約がある顧客にとって、非常に魅力的なポイントとなります。
このように、バリューラダーの考え方は顧客との関係性構築において非常に重要です。しかし、実際のビジネスでこれを実践しようとすると、具体的にどのような商品やサービスを、どのような順序で提供すればいいのか悩むことも多いでしょう。そこで注目したいのが、バリューラダーの考え方を実践的な販売戦略として具現化した「アンボクシングファネル」です。
アンボクシングファネルは、バリューラダーの理論を実務に落とし込んだ具体的な販売手法と言えます。高額商品を複数の低価格商品に分割し、段階的に提供していくことで、顧客との関係性を築きながら、自然な形で価値を届けることができます。これは、まさにバリューラダーが目指す「段階的な価値提供」を実現する効果的な方法なのです。
【成功事例】合計840ドルの商品を分割したExpert Secrets
ここでアンボクシングファネルをもっと具体的にイメージしてもらえるように事例を紹介します。ClickFunnels社のラッセル・ブランソンがやっていた「Expert Secrets」の書籍販売戦略を解説します。「Expert Secrets」の書籍販売は、アンボクシングファネルの効果を実証した素晴らしい成功事例です。
これはもともとは840ドルで販売予定だった4つの商品を、戦略的に分割して販売し、より多くの顧客層にリーチすることに成功しました。この戦略の面白いところは、書籍を入り口として、関連商品を段階的に提供していく設計にあります。
このアンボクシングファネルは、まず27ドルの書籍からスタートします。この価格設定には重要な意図があります。多くの人が「とりあえず読んでみよう」と思える価格帯に設定することで、できるだけ多くの見込み客を集めることができます。しかも書籍は、それ自体で十分な価値を提供しながら、さらなる学びへの期待感も醸成する絶妙な構成になっています。書籍を手に入れるには27ドルと送料だけを払えばいいのです。
次のステップとして、購入手続き中にオーディオブック版を当時19ドルでオファーしていました。これは「オーダーバンプ」と呼ばれる手法です。書籍購入を決めた勢いそのままに、比較的安価な追加商品を提案する販売方法です。オーダーバンプを使うことで、自然な形で商品を上乗せすることができます。「せっかく本を読むなら、移動中や作業中にも音声学習できたら良くないですか?」という上手いセールスポイントをつくっています。
さらに、書籍とオーディオブックを購入した顧客に対してアップセルをします。297ドルの「Expert Evolution Home Study Course」をオファーします。これは書籍の内容をより実践的に掘り下げた本格的な学習コースです。ここまで基礎的なノウハウをカバーした商品を購入した顧客は、より具体的な戦略やノウハウを求めるようになります。そのタイミングでちょうど良い価格帯の実践コースをオファーすることで、自然な流れで購入を促すことができるのです。
最後のステップとして、497ドルの「Traffic Secrets Home Study Course」という商品がオファーされます。このコースは、集客に関するノウハウを提供するコースです。ここまで段階的に商品を購入してきた顧客にとって、この金額は決して高すぎるとは感じられません。金額を細かく刻んでいるので一括で買うより心理的に買いやすいというのもあります。また1つ1つの商品同士の関連性を作っておくことで、1つ買ったら次も買いたくなるという心理的な戦略も効いています。
このようにExpert Secretsの事例では、27ドルの書籍から始まり、19ドルのオーディオブック、297ドルの実践コース、そして497ドルの集客コースと商品を分割しています。段階的な価格設定を行うことで、効果的なアンボクシングファネルを実現しています。合計840ドルという金額も、分割して提示することで顧客にとって受け入れやすい形となっているのです。
まとめ:アンボクシングファネルで実現する新しい販売戦略
ここまでアンボクシングファネルの概念について紹介してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- アンボクシングファネルは、高額商品を複数の低価格商品に分割し、段階的に提供することで顧客の心理的ハードルを下げる効果的な販売戦略である。
- バリューラダーの考え方を実践する手法として、顧客との信頼関係を築きながら価値を届けることができる。
- 各ステップの商品は、前のステップで得た知識や興味を深める形で構成することで、顧客にとって自然な流れで価値を感じられるようになる。
- 金額を細かく分割して提示することで、一括購入と比べて顧客の財務的・心理的負担を軽減することができる。