今回は、ストレート広告のフォーマットを活用した、広告の例をご紹介していきます。ストレート広告は、商品について視聴者に情報を提供する広告です。この広告は非常に一般的で、すぐにでも利用しやすい広告スタイルでしょう。
そのスタイルはフック、問題、解決策、ベネフィット、反論処理、そして最後にCTA(Call To Action)で成り立っています。これがストレート広告の方程式です。しかし知識で学んでいても、実際に活用するのは少しイメージがしにくいかもしれません。そこでストレート広告を上手に使った広告の例を紹介し、理解を深めてもらおうと思います。では早速始めましょう。
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画期的なストローの広告を徹底解説
ストレート広告の方程式を理解できました。次は、実際の広告で各要素がどんな風に使われているのかをチェックしましょう。今回ご紹介するのは、Kickstarter上で大成功したRain(レイン)という会社の広告です。
彼らは、再利用可能なストローの商品「Rain Straw(レインストロー)」を扱っています。その動画広告がとても面白かったので紹介します。彼らは当初、Kickstarterでの資金調達目標を120万円に設定しました。そして最終的に彼らは、なんと8,000人以上の支援者から2500万円以上の資金が集めたのです。当初の目標額の20倍もの金額です。
この商品が大成功を収めた最大の理由は、その動画広告にありました。そこで今回は、Rain社の広告がどのようにストレート広告を作っているのかをご紹介します。
要素#1:強烈な映像とともにフックを利かせる
いきなり女性の顔がアップで写って、ストローから美味しそうに何か飲み物を飲んでいます。そして「はー、スッキリおいしい!バイキン以外は。」という言葉を発します。
すると、カメラがズームアウトして衝撃的な事実が判明します。なんとそのストローの先が、便器の水につながっているんです。僕も最初見たとき「え?なにこれ」と思ってしまいました。これがフックです。
ここで、あなたの心も「何が起こっているの?」と考えますよね。そう、なぜ彼女はトイレの水を飲んでいるのだろう?と考えるのが普通です。これは素晴らしいフックでしょう。そして次の、問題提起にうまくつなげます。
要素#2:人々が目を背けている問題を意識させる
ここで、彼女は次のような問題提起をしています。
「普通の再利用できるストローを使っている人は、基本的に毎日トイレの便器から飲み物を飲んでいるのと同じです。」これだけだと、なんとなくはイメージできるけど説得力に欠けます。なので、この問題に説得力を持たせる工夫をします。それがこれ。
「湿ったストローの内側はバクテリアの絶好の温床です。」と言いながら、実際のストローの中を撮影した映像を見せます。映像の中では、ストローの内側に黒いカビのようなものが沢山ついているのが見えます。動画広告で有効な問題提起の種類である、恐怖心を使っています。
視聴者が思ってもみなかった問題に気づかせ、恐怖心を掻き立てる秀逸な問題提起です。しかもそのやり方がすごく上手です。こういう実際の映像はすごくインパクトあります。僕も一瞬、自分の子供の水筒とか大丈夫かな?とか不安になってきます。
「このバクテリアに、唾液や古くなったソーダ、ミルクスムージーの残りカスなどが合流しますよね?そうすると、、、はいそうです。小さな細菌だらけのジュラシック・パークの出来上がりです。」
ここでちょっとしたジョークを挟んでいますね。さらにこの問題を深堀りして、彼女は続けます。
「24時間以上洗わなかったストローには、公衆トイレの便座と同じくらいの細菌が付着しています。これは大変なことですね。環境保護は素晴らしいことですが、あなたが死んでしまっては元も子もありません。」
さらにストローに関する事実を語っています。公衆トイレの例を出すことで、 視聴者にストローを再利用するときの不快感を植え付けています。ストローの中の細菌が増えることを環境保護と言ったのは、ちょっとしたジョークですね。
「しかし、ここで問題があります。従来の再利用可能なストローは最悪です。なぜならストローは飲むことはできても、きちんと洗うことはできませんから。食器洗浄機は、ストローのおもてだけを洗浄するので効果がありません。ストローの裏側をしっかり掃除するようには設計されていないのです。」
「それは、まるで洗車場で車の中をきれいにしようとするようなものです。内部の汚れは落とされることなく、汚れのままキープされてしまうのです。もしあなたがストローの内側を掃除するパイプクリーナーを持っていて、さらにその時間があるなら良いでしょう。でも毎回パイプクリーナーで掃除するなんて出来ませんよね。」
ここで今までとは違う新しい問題提起が出てきます。ここまでは、再利用可能なストローの不衛生さを延々と説明してきました。ここからは、他の製品の不満点という別の角度の問題提起を出してきます。従来のストローはちゃんと洗えないし、洗おうとしてもすごく不便だと言うわけです。
「しかもゴシゴシ洗った後のストローの中をよく見ることができないので、中に何が潜んでいるかわかりませんよね。つまりこの先、何週間も新旧のフレーバーをブレンドしたものを口に流し続けることになるのです。うーん。カビの生えたほうれん草のコーラです。」
さて、ここで出てくる問題点は2つにまとめられます。1つ目は、再利用可能なストローは洗浄しないと不衛生ということ。そして2つ目は、従来のストローは洗浄しにくいということです。
1つ目のストローの不衛生さを知ってもらうために、トイレを例に出しました。実際のストローの汚れも見せていましたね。トイレと同じくらい汚いという事で、この問題点に説得力が生まれています。
ただこの不衛生さの説明の部分は長いです。実際は、もう少し短くできます。とはいえこの動画広告は、この問題がいかに重大であるかを視聴者に伝えることに成功しています。
要素#3:自社の商品を画期的な解決策として提示する
では、そんなトイレのようなアイテムを使わず、快適なストローを手に入れるにはどうすればいいのでしょうか?そこですぐさま解決策を提示します。
「紹介します、Rain Straw(レインストロー)です。そう、この解決策こそがRain社が考えるソリューションです。Rain Strawは革命的なスライド式ストローになっていて、手で2つに分ければ内部にかんたんにアクセスできます。素早く簡単に、そして徹底的に洗浄することも可能です。飲むときは普通に飲めて、洗うときはスライドして分解するだけ。いやほんとにそれだけなんです。」
これが解決策ですね。この解決策はとてもシンプルで良いですよね。Rain Strawとは何か、どのように機能するのか、とても簡潔に説明しています。
要素#4:解決策を利用するベネフィットを詳細に説明する
さて、解決策が出たところで次はベネフィットに移ります。この商品の機能は分かったけど、それを使うことで視聴者の生活がどう変わるのかを描きます。
「このストローは食洗機でも、ペーパタオルでも洗えます。パイプクリーナーでも何でもいいんです。でも洗剤を使って、丁寧に洗ってください。でも重要なのは、このストローは洗ったあとも内部をしっかり確認できること。もう何が入っているかわからない、ロシアンルーレットのような状態は完全に回避できます。100%BPAフリーで食器洗浄機にも対応しているので、他のプラスチックのように有害な化学物質が発生することもありません。」
はい、ここですね。大事な部分は2つです。まず分解できるから洗うのが簡単なので清潔にできること。そして、洗ったあとにちゃんと綺麗になったことを確認できること。その後に、化学物質も出ないので安心安全だと言っています。この化学物質の話は問題提起では触れられてなかったので、そこまで大事ではありません。そしてこの後にジョークが入ります。
「だって化学物質の毒ほど、飲み物の味を台無しにするものはありませんから。ですよね、白雪姫?」
白雪姫といえば毒りんごですから、そのブラックジョークですね。こういうのをちょこちょこ入れると、単調さを防ぐことができます。どうしても真面目な説明になるので、動画を見続けてもらうためには大事です。いずれにしても、清潔になるから味が美味しくなるというベネフィットを説明している部分です。
とにかく問題点にあるように、多くの人は不衛生なまま使い続けるデメリットを知らなさすぎます。それを避けられるなら、このストローを使う意味は大きいですよね。誰だってトイレと同じ衛生状態のストローなんて、使いたくないはずですから。
要素#5:沸き起こる視聴者の反論に対処する
商品自体の機能や、ベネフィットの説明が一通り終わりました。さてセオリー通りに次にいきます。反論処理です。
「でもストローがスライドしてしまうと、空気が逃げてしまうのでは?という反対意見があるでしょう。でもそんなことはありません。Rain Strawが特許を出願しているエアロックデザインにより、ストローの寿命が来るまで、飲み物が途中で漏れることありません。保証します。」
これが反論処理の部分ですね。確かに僕もこの広告を最初に見たとき、同じことを思っていました。「ストローの隙間から空気や飲み物が漏れないのかな?」と。でも広告では、すかさずその部分の反論処理を入れていますね。タイミング的に完璧です。
その上、彼らはライフタイムの液漏れ保証をしています。これはやりすぎくらいです。ここまで自信満々に保証されたら、誰だって安心して購入してしまうでしょう。ストローが折れたり、液漏れしたりする心配はありません。何があっても、お手入れが簡単で、液だれしない再利用可能なストローを手に入れることができるのです。
要素#6:最後に視聴者を具体的に動かす行動喚起
最後に彼女は、迷っている視聴者に対し、背中をひと押しする行動喚起を促します。
「もしあなたが健康と清潔さを大事にしているなら、以下のリンクをクリックして、今日からRain Strawで清潔な飲み物を飲んでください」
商品の良さをすべて伝えきったところで、必ずこのCTA(Call To Action)を入れてください。これにより視聴者は、この広告を見た後に次のステップに進み、商品を購入することになります。逆に、視聴者がどんなに商品を気に入ってくれたとしても、CTAが無ければ購入まで踏み切れません。きちんと彼らに商品の購入方法までを案内してください。そこまでが動画広告の役割です。
まとめ:ストレート広告はフォーマットに従えば爆発的な効果を発揮する
さて、ストレート広告のフォーマットに沿って、Rain社の広告を徹底解説しました。ストレート広告はとても一般的で、多くの動画広告に利用されています。しかもシンプルな流れなので、すぐに実践しやすい広告フォーマットです。
ただし成功には条件があります。それは視聴者が抱える問題と、その解決策である商品の関連性を正確につなげることです。 これを守らないとどんなに良い商品でも、購入されることはありません。ポイントがズレているからです。視聴者が抱える問題を正確に描き出し、そこに絶妙な見せ方で解決策を提示してください。さて今回は異常です。何か不明な点があれば、すぐにコメントで教えてくださいね。ではまたお会いしましょう。