今回は、カスタマーズ・ストーリー広告の事例をご紹介しましょう。このフォーマットは基本的に、あなたの商品で人生が変わった顧客にインタビューをして、あなたの商品を効果的に魅せる手法です。
ただし知識だけを備えていても、実例を知らないのでは意味がありません。そこで今回は僕のほうで実例を紹介し、噛み砕きながら一緒に学んでいければと思います。
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4000万円以上を売り上げた広告の解剖学
Whyメソッドを使って、インタビューをより深く掘り下げ、最大限に活用するかどうかはあなた次第です。簡単ですよ、なぜ?と掘り下げていくだけですから。さて、インタビューでカバーすべき話のポイントを理解したところで、すべての答えをまとめて広告にするとどうなるかをお見せしましょう。
今回は、Jumpcutの作ったViral Academyというコースの広告を見ていきます。広告の種類はカスタマーズ・ストーリー広告です。Viral Academyの受講生であり、40万人以上のYouTubeチャンネル購読者を獲得したJahtna(ジャトナ)に焦点を当てています。このインタビューは、もともとブランディングのために撮影したものなので、インタビューの質問内容は広告用のものから少し違っています。
しかしその映像を広告フォーマットに再利用することで、コースを紹介するカスタマーズ・ストーリー広告として試してみることにしました。この広告は4000万円以上の収益を上げたものです。では、中身を見てみましょう。
ポイント#1:強烈な印象で視聴者を惹き付ける「フック」
「彼女はジャトナさんです。彼女はYouTube動画を作ることで、学生ローンをすべて返済しました。その方法をご紹介しましょう」
最初の5秒がこの一文から始まります。これが「フック」です。とても簡単にできます。ここでは、別の女性がナレーションをしています。
この後も度々女性がナレーションをし、理解を深めたり補足を入れたりする役目を果たしてくれます。またジャトナがクリームを塗っている映像も使われていますが、これはちょっと変な感じでフックにぴったりです。続きを見てみましょう。
「私のチャンネル名は xoJahtna で、DIYやビューティーハックをしています。チャンネル登録者数は約40万人です。」
これは、フックの延長線上にあるものです。彼女は自己紹介で、自分のYouTubeでかなり成功していることをさりげなくアピールしています。
ポイント#2:視聴者と同じ目線から提起される「問題」
ジャトナは、なぜその選択をしたのか語り始めます。
「私がクリエイターになりたかったのは、自分がとても芸術的な性格だったからで、そのためには表現方法が必要だったのです。この気持ちを形にする方法が必要でした。それで、ネイルアートのチュートリアルチャンネルをやることにしたんです」
ここで、問題の一端を紹介します。彼女はクリエイティブな人間であり、クリエイティブな表現方法を必要としていました。そこで彼女はYouTubeを利用したのです。この後、さらに多くの問題を紹介します。
さてこの広告は、カスタマーズ・ストーリー広告の完璧な例ではないことを覚えておいてください。僕たちならもっと違ったやり方をしたはずです。Jumpcutは、他の映像を再利用して、できる限りのことをしました。とはいえ、これは2012年のチャンネルです。
「私は当時、何も得られなかったので、少しイライラしていました。インスピレーションを得られなかったのです。撮るのも嫌だったし、編集するのも嫌だった。編集も好きになれませんでした。競合と比べて、視聴者からの反応であるエンゲージメントが得られなかったのです。」
そこで、もうひとつの問題が発生しました。彼女はYouTubeチャンネルを始めたのですが、全く人気が出ませんでした。
「私はいつも9時から5時まで働いていましたが、私にはそういう働き方は全く向いていなかったのです。YouTubeで収入を得られることは知っていましたが、その方法がわからなかったのです」
ここでもう一つの問題提起があります。9時から5時までの普通の仕事に向いていなかった、ということです。これは多くの人が共感することでしょう。視聴者の目線に立った問題提起といえます。みんなこのような働き方で、人生の労働時間を費やしているはずです。
さらに彼女は、YouTubeでお金を稼げることは知っていたが、その方法がわからなかったとも言っています。ここで彼女は何に出会って、どんな変化を経験するのでしょうか。そんな期待が入り交じる展開です。
ポイント#3:具体的に何をすべきかがわかる「解決策」
ジャトナは、すぐに解決策を提示します。
「私がViral Academyに登録したのは、YouTubeを再開する前に不幸にも解雇されてしまったからです。それが何かの後押しになったような気がします。私はそれを実現しなければならなかったからです。でも仕事がなかったんです。だから藁にもすがる思いで、すぐに登録しました」
このように、彼女はソリューション…つまり解決策を紹介しています。しかしお気づきのように、解決策から少し離れています。彼女は仕事を失ったことを話していますよね。これは公式には当てはまりませんが、感情的な話なのでそのままにしておきました。
前にも言いましたが、これらの広告フォーマットはすべて、一般的な構造で作られています。もしより良い広告にするために何かを変えられると思ったら、自由に試してみてください。ではもう少し、ジャトナの話を聞いてみましょう。
「YouTubeを再開しました。ちょうど1年前のことです。チャンネルのテーマを変えたので、今までとは違ったものになりました。ネイルアートのチュートリアルから、ライフハックやDIYに変えたのです。チャンネルのテーマを変えた後の最初の動画が、今最も成功した動画になりました。これは、自分が正しい方向に向かっていて、正しい決断をしたことを確認するためのものです」
この話では、「Viral Academyを受講したらこうなりました」ということを伝えています。「私は正しい道を歩んでいて、自分のチャンネルのテーマを変え、バイラルビデオを手に入れた」と。そしてこれらは、Viral Academyが彼女のためにしたことを説明しています。
「Viral Academyを受講してから、視聴者に何か質問をするとエンゲージメントが高まるというアドバイスをもらいました。そこで視聴者に『あなたのお気に入りはどれでしたか?』というようなコメントを促す話をしました。これが大当たり。一晩でコメントが増えました。気がつくと、私のチャンネルは雪だるま式に増えていきました。視聴回数も増えていきました。次から次へとバイラル・ビデオが出てきて、これはすごいことです」
ポイント#4:解決策を信じれば得られるベネフィット
ジャトナがしたのは、ただ解決策を取り入れただけ。状況は視聴者と同じだったのに、ただその解決策を取り入れただけで成功したのです。
「Viral Academyの後、今では38万人以上の購読者がいます。チャンネルを開設してから3ヶ月間で、以前の仕事の2倍、いや3倍の収入を得ることができました。むしろ4倍くらいになりました。驚きの連続でした。」
今聞いたのは、その解決策を取り入れたことで得られたベネフィットです。確かに彼女は解決策についても少し話しています。でも、ほとんどはViral Academyの後に彼女の人生がどう変わったか、つまりベネフィットの部分を話しています。
彼女は今、4倍のお金を稼いでいて、次々とバイラル・ビデオを作っています。そして38万人以上の購読者がいます。
「最初の大金は借金返済に充てました。1日で完済しました。それが最初にやりたかったことなんです。この借金をチャラにしようと思ったのです。」
さて、もう一つのベネフィットもあります。ご存知のように彼女はViral Academyを利用したことで、借金を完済することができたのです。彼らの商品を使って、彼女の人生が変わったということです。
この広告がうまくいった理由のひとつは、多くの人々、特にアメリカの人々がこれに共感したからだと思います。多くの人が大学を卒業し、やりたくもない仕事に就いて、学生時代に作った借金に苦しんでいます。
この話を聞いた人たちは、彼らの商品を使えば自分もジャトナになれるのではないかと考えるのです。
「実際、私はビジネスの学位を取得した時よりも、Jumpcutでビジネスについて学んだことの方が多いです。それはかなり悲しい事実ですが、それは同時に真実でもあります。」
ポイント#5:視聴者が抱く疑問に対応する「反論への対処」
「Viral Academyでは、自分の価値や価値観に気づくことができるのがいいですね。YouTubeを真面目なものとして見ていない人もいます。つまりYouTubeを仕事にできるとは思っていないのです。でも、それは間違いです。これを仕事にすることは可能です。努力して、自分を信じさえすれば、何でも可能です。もう一度お伝えさせてください、何でも可能なのです。」
これが大きな反論です。多くの人が、YouTubeはフルタイムの仕事にはならないと思っています。しかし、彼女は「私はただ信じて受け入れたサクセスストーリーなのです。私にできることは、あなたにもできるはずです」と言っているのです。
さてこの部分は、カスタマーズ・ストーリー広告がいかに強力であるかを示す、実に素晴らしい例です。同じことをJumpcutの創業者のKongが言ったとしたらどうでしょう。確かに、彼の言うことを信じる人もいるでしょうが、中には「お前はこの会社のCEOなんだぞ。お金をもらえるんだから、そういうことを言う経済的なインセンティブがあるだろう」と言う人もいるでしょう。
ジャトナのように、金銭的なインセンティブを持っていない人が言うと、より本物らしくなるんです。そうすることで、より本物らしく、より説得力のあるものになるのです。
「Viral Academyは、多くの人を助ける素晴らしいアカデミーになっています。Viral Academyはすべての人に当てはまります。あなたのチャンネルが何であるかは関係ありません。私が最初に登録したときは、自分が一般的なジャンルではなく、少し変わっているので心配でした。私のチャンネルはビューティ&ファッションですが、どのチャンネルにも適用できます。」
また、反対意見に対応している映像もあります。彼女は、Viral Academyは誰にでも使えて、どんなタイプのチャンネルにも対応できると言っています。繰り返しになりますが、もしJumpcutのKongがこれを言ったとしても、彼はCEOです。この会社を所有しているので、それほど強力ではないし、説得力がありません。
一方、彼女が言う場合は、より信憑性があります。
「時には夢のように感じることもあります。自分で自分を管理し、仕事を始めるタイミングを自分で選べるというのは、とても自由な感じがしますよね。正直なところ、YouTubeを始めたこの1年は、今までの人生の中で一番幸せでした」
そう、ここで出てきたのは、さらなるベネフィットでした。彼女は感情的な言葉をたくさん使っています。彼女は「とても自由な感じ」と言いましたね。そして、「今までの人生で一番幸せだ」とも言っています。このように感情的な言葉で締めくくることで、広告が視聴者の心に響くようになります。
ポイント#6:最後に視聴者の背中を後押しするCTA
最後にCTA(Call To Action)が来ています。これは
「ジャトナはJumpcutの生徒でした。Jumpcutでは、あなたの人生における情熱に基づいて、収益性の高いYouTubeチャンネルをゼロから構築する方法を段階的に教えています。画面左下のリンクをクリックすると、4部構成の無料ビデオシリーズをご覧いただけます」
右下に7と書いてある数字が見えますか?これはカウントダウンタイマーですね。さて、ここでCTAを挿入しています。最後のこの部分は、ナレーターが話しています。ここでは解決策部分のような商品説明もしています。ジャトナがインタビューの中で、Viral Academyは何をするためのコースかを話していませんでした。なので、CTAであるこの部分に説明として追加されています。
あとはもうシンプルに「下のリンクをクリックしてビデオシリーズを視聴してください」というCTAがあるだけです。この部分は顧客に言ってもらう必要はありません。このように、CTA部分だけを自分たちで作ることが可能だからです。
これがまた面白いのですが、彼女のインタビューの元々の意図は、広告用ではありませんでした。しかし彼らはこの映像をうまく広告用に編集することができ、大きな収益を上げることができました。
まとめ:カスタマーズ・ストーリー広告は感情が動くと効果的
今回は最も成功したカスタマーズ・ストーリー広告の1つを、分解して解説してみました。要約すると、カスタマーズ・ストーリー広告は、あなたの商品が最高の顧客の人生をどのようにポジティブに変えたかを伝えるものです。
素晴らしいカスタマーズ・ストーリー広告には3つの重要な条件があります。満足している顧客がいること。説得力のあるストーリーを持つ顧客を選ぶこと、そして素晴らしいインタビューの準備と実行です。
インタビューで最高の答えを引き出すためには、7つのカスタマージャーニーについても学んでおくと良いでしょう。カスタマーズ・ストーリー広告のフォーマットについても理解を深めておいてくださいね。本日はここまで。何か不明点はありますか?何かあればコメント欄で知らせてくださいね。それでは、またお会いしましょう。