今回のレクチャーでは、オンラインコースをセールスファネルで販売する方法について解説します。セールスファネルというキーワードを検索で叩いたらダメです。高名(こうめい)なコンサルタントの方々が、さっき紀伊国屋書店で立ち読みしたばかりの本に書いてあった「セールスファネル」の定義をそれらしくブログ記事で書いているからです。そんなの見たところで何ひとつ行動に移せません。
セールスファネルとはそもそも何なのか、僕たちが、どのようにセールスファネルを活用して、どんな結果を出しているのか。具体例を挙げながら、解説していきます。先に結論を言いましょう。セールスファネルはページの連なりです。それ以上でもないし、それ以下でもない。あまり難しく考えないでください。それでは、見ていきましょう。
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セールスファネルとは何か
あなたのオンラインコースを上手く売るためには、セールスファネルについて深く理解する必要があります。セールスファネルとは何なのかを、具体的に説明できるしょうか。
一度「セールスファネル」と検索してみてください。「見込み客を商品購入まで導くステップのこと」と説明されていますね。もう少し見てみると「トラフィック(=初めてサイトへアクセスした人)」「プロスペクト・リード(=あなたの商品に興味を持っている人)」「カスタマー・リピーター(=一度あなたの商品を買ったことがある人)」そんな風に見込み客を分類しています。そして、それぞれの段階に適したセールスをしましょう、と言っていますね。
さて、この説明を読んで、セールスファネルを本当に理解できるでしょうか。とても概念的で、わかりにくいと感じませんか。そもそも、〇〇さんはトラフィック段階で、××さんはリード段階と分けることは無理ですよね。
あなたはWordPressでブログを書いています。検索エンジンを意識したSEOライティングを施しています。特定のキーワードでブログの記事が上位表示されています。そのブログ記事に匿名の名無しさんがランディングしました。彼は、トラフィックでしょうか?それとプロスペクトでしょうか?仮にプロスペクト(見込み客)としましょう。彼を、見込み客から顧客にするために具体的にどんな施策ができるでしょうか?オプトインさせること?ウェビナーを見せること?それともセールスレターに誘導すること?
ここで彼の正体を明かしましょう。あなたのブログ記事にランディングした匿名の名無しさんは、ソファでくつろぎながらポテチを食べている中学生です。たまたま父親の使っているiPadで検索サジェストに出てきたキーワードを誤ってクリックしただけのトラフィックです。
僕たちはそろそろ認めなければいけません。僕たちが想像している以上にトラフィックは細分化されているし、それぞれが全く別の意図を持って検索し、仮にあなたの商品に興味がある人でも、その興味の度合いは人それぞれです。
さて、そういった古典的なセールスファネルの説明では、これら細分化されたトラフィックや、程度の異なる興味度合いの人たちに、名前をつけて(例えばリードとか、リピーターとか)彼らに異なるアプローチをせよと迫ってくるのです。リソースが限られているネット経営者の僕たちに、そんな見たことも会ったこともない人たちを想像し、しかも効果的かどうかもわからない別々の施策を用意するなんて、ただの夢物語でしかないのです。
それら古典的、あるいは教科書的な説明のセールスファネルを理解しようとするのは、はっきり言って時間の無駄です。書いている本人たちが自分で何を言っているのかわかっていない場合がほとんどです。
少なくとも「セールスファネル」のブログ記事を書いている人たちのセールスファネルの中に僕は入ったことがありません。
彼らはセールスファネルについて説明することはできても、肝心の「セールスファネルの中に人を入れること」に失敗しているのです。それではなんのためのセールスファネルか意味がわかりませんね。
セールスファネルとは「ページの連なり」
僕たちが使っているClickFunnelsというオンラインコースのプラットフォームでは、セールスファネルとは何かという部分を、もっとわかりやすく定義しています。ClickFunnelsが言うセールスファネルは「ただ単にページの連なり」です。トラフィックとリードとカスタマーがあって….という考えではなく、単純に各ページの連なりなんです。
例えば「トラフィック専用のファネルを作って下さい」「リード専用のファネルを作って下さい」と言われても、概念的すぎて何をすべきかよくわからないですよね。一方で「新たに各ページを作って下さい」と言われたらどうでしょうか。非常にわかりやすいですね。だから、ClickFunnelsで言うセールスページというのは、ランディングページのようなページの連なりであると思えば良いんです。こう考えると、具体的に行動しやすくなります。
行動に移すことのできない知識は無駄です。
行動をベースにした知識にこそ意味があります。
セールスファネルを作る、と聞いてあなたはどんな行動を起こしますか?僕は早速、各ページの作り込みを始めます。
まずはYouTube広告のトラフィックをランディングさせるセールスページを作ります。
ローチケット商品(フロントエンド)の購入者に見せるアップセルページを作ります。ワンクリックで購入できるように設定します。ここで長々セールスレターは書いたりしません。VSLでサクッと販売します。
アップセル商品を買わなかった人にはダウンセルページをあてます。ここら辺の分岐もClickFunnels が自動でやってくれるので便利です。ちなみにダウンセルは毎回「特典を抜く代わりに大幅値下げします」が決まり文句です。それ以外のオファーを試してもダウンセルでは成果が出ないので気をつけてください。結果が出るセールスファネルには、フォーマットが存在するのです。
次に表示するのが注文完了ページです。商品名のところに購入した商品が自動的に記載されます。もちろん合計金額も自動で計算されます。例えば、YouTube広告マスタークラスと広告マフィアの仕事術の2つの商品を買った人には、4700円と29700円の合計34400円が代金のところに表示されます。
セールスファネルの各ページにはDeadline Funnel が埋め込まれています。締め切りを過ぎると全てこのウェイトリストのページに飛ばされます。ダイレクト出版はただ単にキャンペーンは終了しましたの文字列を記載するだけですが、僕はここでウェイトリストのオプトインを用意しています。ウェイトリストに再度告知した時に成約率が跳ねることを理解しているからです。
これがセールスファネルです。セールスファネルは概念ではなく、ページの連なりであることを理解していただけましたか?
セールスファネルは様々な販売アプローチを包括した概念
オンラインで商品を売るためには、様々なプロモーション方法があります。
例えば「エバーグリーンウェビナー」と呼ばれる、製品を発表する段階で使う販売方法があります。エバーグリーンウェビナーでは、最初に登録ページを見せて、その後にカウントダウンのタイマーページを見せます。次に商品に関するウェビナーページを見てもらい、最後にリプレイページを表示させます。
「プロダクトローンチフォーミュラ」と呼ばれる手法では、初めに最新のオプトインページが表示され、その後にビデオ1、ビデオ2、ビデオ3、ビデオ4を続けて見てもらい、最後にオーダーフォームを提示します。
どれも良い方法ですが、「トンカチ持つと全てのものが釘に見える」という問題があります。例えばプロダクトローンチを学んだ人は、全ての物をプロダクトローンチで売ろうとするんです。100円の電子書籍を売るのに、プロダクトローンチを使うためにビデオを4本撮るというのは非効率すぎますね。だから、商品の値段などに応じて、セールスファネルを分けた方が良いんです。
ClickFunnelsでは、セールスファネルというひとつの概念だけで全てを行えるんです。先程のエバーグリーンウェビナーも「ウェビナーファネル」で処理すればいい。プロダクトローンチも「プロダクトローンチファネル」で処理すればいい。インターネット上のあらゆるプロモーションを包括し、それをセールスファネルというページの連なりで説明したのがラッセルブランソンの功績だと僕は考えています。
セールスファネルはあらゆるプロモーション方法をひとつに包括した概念です。だから、ClickFunnelsのセールスファネルを理解できるようになると、エバーグリーンローンチもプロダクトローンチも、結局はセールスファネルのひとつだということがわかります。これから詳しく説明しますが、みんなが大好きなフロントエンド商品やバックエンド商品のプロモーションも全部「トリップワイヤーファネル」で説明できることなんだと気付きます。つまり、ひとつひとつの手法を総括して、一段上の所から見られるようになるんです。
ClickFunnelsのセールスファネルの実践例
ここでは、僕たちが実際に使っているセールスファネルを紹介します。具体的には、ClickFunnelsを使って、30万円のオンラインコースを売っていく方法です。
今回僕たちは「トリップワイヤーファネル」というアプローチで販売しました。トリップワイヤーというのは、最初に安い商品、つまりフロントエンド商品を売ってから、本当に売りたい商品、つまりバックエンド商品のオファーをすることです。いきなり本命の30万円の商品の宣伝をするのではなく、最初はもっと手頃な商品、例えば29,700円とか4,700円とかの安価な商品を売ります。そして最後に、30万円のオンラインコースの購入ページを置くんです。これが「連なり」です。この説明を見てわかる通り、セールスファネルとは、実はもの凄く具体的なものなんです。ただ単純な、ページの連なりです。
#1:4,700円の商品紹介ページへのランディング
今回のセールスファネルでは、広告で集めたトラフィックをセールスページに着地させます。最初に4,700円の商品の宣伝ページにランディングしてもらいました。
まずは、4,700円の商品のページにアクセスしてもらい、名前とEメールアドレスと決済情報を入力してもらうのです。これが、ステップ1です。ここでオプトインの取得は、不要です。
#2:オーバーダンプ/4,700円と2,700円の商品販売
名前とアドレスを入力してもらってから、ステップ2に進みます。ちなみにこれを2ステップペイメントフォームと言います。面白いことに、実はステップ2に辿り着くまで、商品の値段を知らせていないんです。商品の値段を言わずに、ステップ2に進んでもらい、そこで初めて4,700円と出します。既にステップ1で見込み客は名前とEメールアドレスを入れていて、その時点でほぼ買うって決めているんです。人は、1回イエスと言ったことに対して2回目でもイエスと言いやすくなるんですね。
ちなみにここでは、オーダーバンプと呼ばれる手法も使っています。商品の購入画面で「こちらも一緒にいかがですか?」と案内された経験はありませんか。それが、オーダーバンプです。僕たちは、オーダーバンプを使って、4,700円の商品に関連した2,700円の商品を提案しました。
商品購入のクレジットカード情報を入れて、このチェックをしないで次に行く方が難しいです。チェックを入れてもらうと、オーダーバンプで2,700円の商品も追加されます。
これは非常に効果的で、今回はなんと83%の人が買ってくれるという結果が出ました。131人いたら109人がオーダーバンプの商品を購入します。これは凄い数字です。
#3:アップセルとOTO/29,700円の商品販売
ステップ3では、29,700円の商品を宣伝します。4,700円の商品を購入した人に、より上位の商品の購入を提案するんです。この方法を「アップセル」と呼びます。そして僕たちは、ここでOTO(=One Time Offer)という手法も使っています。OTOとは「この商品は今回しか購入できません。ページを閉じたら、二度と購入できなくなります」と限定して商品を提案することです。
4,700円の商品を購入した人限定で、29,700円の商品を購入できるページに案内します。これも非常に効果的で、決済率は50%と言うとんでもなく高い数字が出ています。
ここまで見るだけで、トリップワイヤーが、いかにポテンシャルのあるファネルかということがわかるのではないでしょうか。トリップワイヤーを使うと、真面目にトラフィックさえ集めさえすれば、本当に沢山の人が決済してくれるのです。
#4:アップセルとOTO/300,000円のオンラインコース販売
いよいよ最後に、30万円のオンラインコースを販売します。これは29,700円の商品に対するアップセルですね。そして、ここでもOTOを行います。
このページでは、「次は違うページに来た」という感覚を持ってもらうために、わざとヘッダーを出さないなどの工夫をしています。今までとは違う商品で、一段上のものということを強調するんです。このページでは、テキストは余り入れていません。 代わりに、1本の動画を置いています。ビデオセールスレターを使って宣伝をします。
そして、「この購入ページは、4日間限定でアクセスできます。4日を過ぎると、二度と購入することはできません」と伝えます。画面の上部にはデジタル時計のようなものを置き、購入期限までの時間がカウントダウンされるように設定しました。普通、このようなOTOはオプトインページを起算点にしますが、今回は商品の購入を起算点にしてタイマーを回しているんです。
ちなみにこのページは、本当に4日間でアクセスできなくなります。CookieだけではなくIP アドレスとEメール情報でトラッキングしているので。携帯の端末を変えても、インドに行っても、パソコンを変えてもアクセス出来なくなります。
さて結果ですが、販売開始からたったの2日で5%という良い数字が出ています。実はこのセールスファネルでは、全ての商品を一斉に販売開始したのではなく、最初は4,700円の商品、次に29,700円の商品というように、徐々に追加していきました。30万円のオンラインコースは最後に追加したので、購入率はまだまだ上がるでしょう。
#5:ダウンセル
ダウンセルとは、アップセルの反対、つまり購入した商品よりも下位で安価な商品を提案することです。具体的には、最初のOTO、29,700円の商品のオファーにノーと言った人たちへ向け、いくつかの特典を抜いたものを19,700円で販売します。ここでは特にVSLなどは使わずに、値段だけを表示させました。29,700円の商品に対して、ライト版を1クリックで安い方を買えますよと示すのです。
ただ、ダウンセルをするかどうかは、よく考えるべきです。果たしてダウンセル買うような人まで、クライアントにしたいかどうかという所ですね。気持ちよく29,700円の商品を買ってくれる人を対象にしたいというならば、ダウンセルを入れるかどうかは要検討です。
Stripeを使った決済とZapierによる自動化
コースの管理はTeachableで行っています。しかし、決済はClickFunnelsで受けています。もう少し厳密に言うと、ClickFunnelsの後ろにStripeというオンライン決済システムを組んでいます。ClickFunnelsで受け付けた決済は、Stripeで処理されるということです。
なぜTeachableで決済をしないかというと、僕らの過去のデータを見ると、ClickFunnelsで決済を受ける方が、Teachableで決済を受けるよりも調子が良く、高い売り上げが出ることがわかったからです。
ClickFunnelsはセールスファネルの会社でもあるんですけど、それ以上に決済の会社という面が強いと思います。それほど、決済周りに凄く強いんです。わかりやすいのはオーダーバンプやOTOで、このような機能はTeachableでは実装できません。だから僕らは、ClickFunnelsで決済を受け付けるんです。
ClickFunnelsで決済を受けたクライアント情報をTeachableに繋ぐためには、Zapierという自動化ツールを使っています。例えばオンラインコースを売るなら、ClickFunnelsで決済があった場合に、Teachableでの対象のコースの受講の許可するという設定にします。
さらに「購入者の情報をMailChimpにタグ付けをする」という設定もします。MailChimpはメールの自動配信ツールで、こう設定することで、購入者に最適な内容のメールを送ることができるようになります。加えて、商品が売れ際には売上通知をするという設定もしています。
Zapierを使えば、一連のこれらの作業を全て自動化できるんです。
まとめ:優れたセールスファネルはビジネスを自動で拡大させる
優れたセールスファネルは、ビジネスの自動化と規模拡大のどちらにも作用します。
今回は、2ステップトリップワイヤーファネルを活用して、オプトインを取得しないランディングページを使って、決済をしたクライアントにアップセルを売る方法を紹介しました。これは凄く画期的です。
2ステップトリップワイヤーファネルの2ステップ目にオーダーバンプを仕込むことで、平均顧客単価をアップさせることができました。その成約率は、なんと83%です。
最後に、具体的な数字を紹介しましょう。このファネルでは、広告開始6日間で売上1,074,100円、利益も548,726円出ています。費用対効果は195%でした。最後の30万円のオンラインコースを追加してから2日しか経っていないので、引き続き広告の運用をして、トラフィックを集めさえできれば、まだまだ上がるでしょう。
それでは、また次のレクチャーでお会いしましょう。