今回のレクチャーでは、動画広告を制作する前のリサーチ手段として有効なユーザーアンケートについてお伝えします。アンケートデータは、広告のスクリプトを書くときに役立つ、情報の宝庫です。アンケートによって得ることができる情報は貴重なため、実行しない理由はありません。良い回答が得られるかどうかは、アンケートの内容によって異なるので、こだわりを持って良いアンケートを作成していきましょう。
アンケートでは定量的データと定性的データの両方を得ることができます。ABCなどの選択解答は定量的なデータとして、ユーザーの多くのサンプルが得られるという利点があります。また自由形式の回答からは定性的なデータとして、ユーザーの中に眠っているインサイトや貴重なアイデアを見つけることができる利点もあります。ユーザーにアンケートを送ることは、リサーチの最後を担う大切なパートです。
今回お届けするノウハウはこちら
アンケートのコツ#1: アンケートに見返りを付けろ
よく、あなたのメールボックスに企業から「先日のご利用について10分だけ、アンケートにお時間を頂戴できませんか?」というアンケートメールが来ませんか?そして結構な確率で彼らはただ「サービス向上のためにアンケートに答えてください」とだけオファーしてきます。
僕はいつも「お客さんに何かをお願いするときには必ず、相手にメリットを提示しろ」と口を酸っぱくして説いています。忙しい現代人はメールチェックの合間にSNS、YouTubeなど他にもっと楽しいことが沢山やってきます。あなたはそれらと張り合っている、ということを忘れないで欲しいのです。
これを体験してもらうために、先日僕のところに来たメールを紹介します。良い例と悪い例があるのですが、まずはあまり良くない方からお見せします。
これはEメール配信プラットフォームのMailChimpから来たアンケートメールです。英語で色々書いてあるのですが、一言で言えば「私達のサービス向上のために15分だけアンケートにお時間をください」ということです。確かにMailChimpのサービスは素晴らしいし、競合のConvertKitよりも頑張って開発している感じもするし、僕としてもMailChimpの機能が良くなってくれるなら、それは嬉しいことです。
でも、サービス改善はだいぶ時間が経ってからだろうし、このメールだけでは、僕がアンケートに答えるインセンティブがあまり感じられません。
ちょうどこのメールを自宅のiMacの前で見たとき、まだ幼い次女を抱っこ紐であやしながら、スタンディングデスクで朝食のパンにカブりついていました。このあとFXの相場分析もしなきゃいけないし、胸元で娘が泣いています。朝食を食べ終えたら、長男と長女を学校まで送るのが僕の仕事です。
そう、みんな僕みたいに忙しい人ばかりです。ただでさえ、日常に忙殺されているので他人のために使う時間など、1ミリも残っていません。だから、ドル円のチャートにしっかりトレンドが出ていて今日は稼げますよと教えてくれるとか、他に自分に対するベネフィットがあると思えるオファー以外は全てお断りしています。
あなたも同じじゃないですか?程度の差こそあれ、きっとお客さんも同じはずです。だから、アンケートをもらう時はもっともっとお客さんのベネフィットにフォーカスしてください。お客さんが魅力を感じられるようなオファーを、アンケートに添えることをオススメします。手前味噌で恐縮ですが、次は良い例として僕のアンケートをお見せします。
これはCashLabという僕の販売しているオンラインコース内に設置しているアンケートフォームです。ここではUdemyで僕が2万4,000円で販売しているMailChimpに関するコースをお礼として用意しています。魅力的なのは金額だけではありません。
このアンケートを設置しているCashLabというのは、オンラインコースビジネスの構築方法を1から体系的に扱ったものです。初めてのオンラインコースのコンセプト作りから始まって、最終的には自動化の仕組みを作ってコースを販売しようという流れになっています。CashLabの受講者はこの販売を自動化するまでの過程の中で、必ずMailChimpのようなEメールプラットフォームを使って自動のメールシステムを組むことになります。
なので、「この先、MailChimpを使ってメールシーケンスや自動化を組むときに大いに参考資料になりますから、ぜひ手に入れておいてください。」と相手のメリットに沿って、しっかりと相手が欲しがるような魅力的なオファーを付けています。相手の欲しがるものをオファーする、これもすごく大事なポイントです。
他にもeBookやワークシート、チェックリスト、製品のデモ版、無料面談など色々なフォーマットの見返りが思いつくと思います。あなたのお客さんが喜ぶような見返りを用意して、まずはアンケート開始ボタンをクリックしてもらえるよう、工夫してください。
アンケートのコツ#2: 途中離脱を防ぐために質問数は8個まで
良いアンケートを作成するために、まず質問の数を制限する必要があります。ユーザーについて聞けることをすべて聞こうと、たくさん質問をしたくなるかもしれませんが、それはやめましょう。アンケートが長ければ長いほど、最後までアンケートに答えてくれるユーザーは少なくなってしまいます。
アンケートはできるだけ短くしましょう。質問は5つ前後が理想的です。8つを超える数の質問は絶対にやめましょう。
ここでどんな質問をするべきなのか疑問に思うかもしれません。質問を考える前にその他のリサーチで得た情報のうち、まだ足りない部分、または決定的な情報が不足している部分を分析しましょう。あなたが今まで行ってきたリサーチや広告の目的に基づいて考えてください。
これは僕らのCashLabのアンケートは以下の7項目です。名前とEメールアドレスはアンケートのために必須の項目だとすると実際に聞いているのは5項目です。離脱を防ぐために順番にも工夫を取り入れています。その点にも注意して見てください。
- CashLabには満足して頂いていますか?
- CashLabを他人に推薦するなら、なんて言いますか?
- CashLabの良いところを50文字以上で書いてください。
- あなたの職業・肩書は?
- あなたのお名前は?
- あなたのEメールアドレスは?
- 良ければあなたの写真もください
1つ目に来るのは、シンプルなYes/Noクエスチョンです。これはiPhoneのApp Storeでも使われている、アンケートのスタートを誘導するための質問です。一般的に1つ目の質問に答えてもらうのが一番心理的にハードルが高いです。ここはあえて選択肢を2つにして、クリック1つで簡単に前に進めるように工夫をしておきます。
職業、名前、メールアドレスはすごく退屈な回答項目です。いわば事務的な作業です。だから出来るだけ後半に持ってきます。そして最も躊躇されそうな写真のアップロードを一番最後に置いています。
途中まで書きたいことを書いてもらい、流れに乗ってきたところで、最後に名前やメールアドレスなどの項目を入れないと完了できないようにしています。こうすることで離脱率をグッと下げることができます。間違っても、最初から名前やメールアドレスを聞かないようにしてください。
最後の項目である写真のアップロードは、必須項目の外しているので飛ばしてもらっても良いことになっています。このように「人によっては答えにくいしれないけど、もし答えてもらえたらすごく参考になる」という質問には、必須項目のチェックを外して、回答を任意にしておくと良いでしょう。
ちなみにこのアンケートには広告リサーチの機能だけでなく、セールスマテリアルに掲載するためのテスティモニアルを集める機能を持たせています。アンケートの手前で「※頂いたレビューは、お名前と一緒にセールスマテリアルでご紹介させて頂きます。」と書いておいて、セールスレターやEメールシーケンスで顧客の声として紹介させてもらっています。
また追加で以下のような、商品使用前後の姿を詳しく把握するための質問も入れてみてください。これらは広告内での反論処理や、購入後のイメージを想起する魅力的な広告を作るのに役立つはずです。
- 購入前にどんな懸念がありましたか?
- 購入後に一番変化したことは何ですか?
もし質問数が8個を超える場合は、あなたの質問したいポイントが絞り込めてない可能性があります。もう一度、必要な項目だけを洗い出すようにしてください。
アンケートのコツ#3: 選択回答と自由回答のバランスを取れ
あなたがアンケート項目を考えるときに定量的データを取りたい質問と、定性的データを取りたい質問の2つに分かれると思います。定量的データを取りたい場合は、例えばユーザーに4つの選択肢を与えて、該当するものにチェックを入れてもらうといった、いわゆる選択回答の質問を選んでください。定性的データを取りたいときは、お客さんに直接文章を書いてもらう自由回答の質問を選んでください。
CashLabのアンケートで選択回答を作るなら、「CashLabで気に入ってる点はなんですか?」という質問に対し、選択肢は以下のように作ることができます。
- 各レクチャーが分かりやすい
- 次に何をしたら良いのか明確
- ワークシートが充実している
- コミュニティが活発である
定量的なデータを得ようとしているのであれば、通常は選択回答にして、それぞれの回答の数を簡単に比較できるようにします。あなたはアンケートを通して、具体的な数字を取得することも可能です。あなたの商品がユーザーにとってどう受け止められているのかを知ることができます。どの回答が一番多いのか、次に多いのは何かということがハッキリとした数字に表れます。
定性的なデータを取得したい場合は、自由形式の回答を使用して、お客さんに好きなように書いてもらうことができます。ここで1つ注意点があります。これはユーザーの熱意にも左右されますが、自由回答の場合は十分な長さの回答をもらえないことがあります。せっかく自由回答で、ユーザーの具体的なストーリーや感情を知りたいと思っていても、「内容が良かった」と一言で終わらされるとリサーチの効果が半減します。
CashLabでは、少し長めに答えて欲しい質問には、次のような言い回しで最低文字数を指定しています。「CashLabの良いところを50文字以上で書いてください。」もし、あなたが使っているアンケートツールが最低文字数の設定に対応していれば、その設定も適用してください。
ただしすべての自由回答に、最低文字数を指定すると答える側としては心理的な負担になります。この辺は他の自由回答の質問や、選択回答の質問数とのバランスを取るように気をつけてください。
アンケートが、出来上がったら実際に自分で一度答えてみて、離脱したくなるような無理のあるポイントがないかどうかチェックしてください。見返りを説明している、アンケート前の導入文もアンケートの成功に大きく関係しています。もう一度顧客の視点に立って、顧客の体験する流れすべてをチェックしてみてください。
まとめ:優れたアンケートには細かな工夫が必要
より良い広告を制作するために、アンケートは非常に大切です。しかしアンケートのとり方によって、得られる情報は異なります。どの質問をして、どんな回答を得られるかはあなた次第です。
まずは今持っている情報不足を分析し、アンケートの質問項目を考えてください。そして、アンケートに対する魅力的な見返りを用意し、質問数を8つ以下に凝縮してください。最後に質問ごとにベストな回答形式を選びましょう。
アンケートで得られた情報を、他のリサーチと組み合わせて、お客さんの心を掴む魅力的な動画広告を作ってください。それではまたお会いしましょう。