51番目の社員が見たソーシャルネットワークの真実。日本語版フェイスブックのリリースにたずさわり、CEOマーク・ザッカーバーグのメール代筆を担当した女性社員がスキャンダラスに暴く、時代を象徴する会社の「内幕」と、勝利に取り憑かれた「王」の姿。
マークの代筆者という仕事には、私の情熱に訴えるものがあった。これほど奇妙な仕事、不思議な仕事はしたことがない。フェイスブックの暗黒面に魅了された私にとって、マーク・ザッカーバーグの陰になることは理想だった。
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グーグルもマイクロソフトも日本ではできない
内部告発的?スキャンダラス的?を売りにしている本だけど、フェイスブックという企業が”そーゆー企業”であるのは容易に想像がつく。ドラッカーのマネジメントには属せない会社の雰囲気があって当然だと思う。シリコンバレー系の本を読んでいると、理性で考えて行動するというより、パッションに従って思うままに突き進め!というのが成功する前提条件な感じはひしひしと伝わってくる。マイクロソフトの元日本支社長である成毛眞さんはこういった点をさして「心配しなくてもいい。グーグルもマイクロソフトも日本ではできない企業だから」というのがよく分かる。
会社売却の密談
皆、アウディなどの高級者で、エンジンの轟音を響かせながら敷地の中に入ってきて、テントの中にいるマークと小声で何やら話している。「なんだか古代ギリシャにでもいるみたいね」私はサムにそう言った。その家にいるかぎり、私たちにはあまりすることがない。ただ、後でわかったのだが、私たちが日光浴をしている間に、実は驚くべきことが進行していた。マークは会社をヤフーに売却すべきかどうかを考えていたのだ。ヤフーから提示された価格は10億ドル。
こんな世界は目指すものではなくて、一回経験しておく程度のものだと個人的には思う。起業家として、あるいはステータス(個人史における)として、一度は経験してみたい。童貞だった頃に、セックスってどんな感じなんだろう?と思い描く感情と全く同じだと思う。でもそれは目指すべきものではなく、ある種、楽しむものな気がする。グーグルに始まる今のシリコンバレーモデル、あるいはスティーブジョブスのスピーチに啓発された80年代の起業家は、みなこういったモデルを夢見ているのかもしれないけど、いずれこのモデルにもきっと飽きがくる。そもそも時代がそれを許さない気がする。
メンロパーク、パロアルト、そしてボロいバークレー
ハーバード出のエンジニアたちだけでは、不十分である。彼らはインターネットに関して豊富な知識を持っていはいるが、その知識は本や、大学のコンピューターサイエンスの講義で得たものだ。素性のわからない連中が大勢集まる無法地帯のようなウェブサイトを巡回することで身につけたものではなない。
読むと小説であることに気づく。現実話ではあるんだけれど、非現実に限りないストーリがそこには転がっていて、魅了される人は魅了されてしまうような文体で書かれている。日本という土壌で、このような本に啓発された人が同じことをできるかどうかは分からないけれど、パッションを持って何かに取り組みたいと思うには十分すぎる本。なんたって、彼らが19歳に時の作ったサイトが、現在こんな風に世界を席巻しているんだから、新しいドリームの形を突きつけられる気がして仕方ないんじゃないかな。メンロパークやパロアルトは2000ドルの家賃だけど、学生がたくさんいるバークレーはお金のない人に理想郷だったという表現にはたくさんのストーリーが包まれていて、個人的には一気に読了することが出来た。
文責:石崎力也
追伸:日本のベンチャーは世界にでていけないのか、それともいっていないのかどっちだろう。楽天の海外サイトを見ている限り、一生Amazonにはキャッチアップ不可能だなって明らかに思ってしまうあたりが、やはり日本のベンチャーは世界に出ていけないのかな・・・なんて勝手に思ってしまう。日本で創業した時点で、世界に出て行くことはできないのかもしれない。