あなたは自分の会員制サイトの価格をどう決めたら良いのか、悩んでいませんか?月額プラン以外にどういう課金方法を選ぶべきかと考えているかもしれません。ここではサブスクやオンラインサロンにも使える課金プランの種類を紹介します。多くのパターンを網羅しているので、あなたはその中から選んで自分の会員制サイトに当てはめることができます。
会員制サイトの課金を方法を決めようと思っても、なかなか自分だけではアイデアを思いつくのは難しいかもしれません。ここでは6つの課金方法を紹介します。月額プランや年間プランといったベーシックなものから、あなたが思いつかなかったような方法もご紹介できると思います。基本となる6つの課金プランを紹介した上で、さらに会員制サイトの収益を増大させるための追加オプションも2種類紹介します。それでは1つ1つ事例とともに見ていきましょう。
課金方法1:月額プラン
まず紹介するのは、最もシンプルな課金方法である月額制です。これはコンテンツや商品にアクセスするために毎月お金を払ってもらうタイプです。典型的な会員制サイトの課金方法です。サブスク、オンラインサロンなどの会員制サイトも多くがこの方法を採用しています。1ヶ月だけ課金するということもできるので、手軽に入会することができます。月額プランのメリットは参加の敷居が低くなることです。
その反面すぐに辞めることもできます。そのため会員の離脱率を下げるために彼らの満足度を高めておくことが必要になります。例を出すとNetflixなどが月額プランを導入しています。ちなみにNetflixが用意しているのは月額プランのみで、後で紹介する年間プランの用意はありません。
課金方法2:年間プラン
次に紹介するのは会費を年間単位で払う年額のパターンです。毎月払うのではなく1年ごとに請求していきます。年間プランの良いところは、1年分を前払いで課金できるのでキャッシュフローが楽になる点です。また月額プランのように1ヶ月で辞めるということがなくなります。
そのため月額プランと比べたときの会員の離脱率を低くおさえることができます。年間プランだけ用意するケースは珍しく、多くの場合は月額プランと一緒に用意されます。年間プランのデメリットは、会費が1年分と高くなるため敷居が高くなるという点です。ただしこのデメリットを軽減する方法もあります。それは次の部分で紹介します。
課金方法3:月額プランと年間プランを用意する
これは会員制サイトの支払い方法に月額プランと年間プランの両方を用意する方法です。よくあるのは価格表を2つ用意して、片方は月額プラン、もう片方が年間プランという見せ方をしています。多くの会員制サイトやSaaSなどで採用されている課金方法です。
前の年間プランのところでもお伝えしましたが、年間プランは月額プランと比較すると金額が高くなります。そのため、どうしても年間プランの敷居が上がってしまいます。そこで年間プランの方に割引をつけて、年間プランを魅力的にしましょう。会員制サイトやサブスクでよく目にするパターンです。
これにより意欲が高く長期間利用したいと考えている参加者に年間プランを選ぶ理由を与えることができます。また月額プランの12ヶ月分と比較することで、比較すべき対象ができます。人間というのは選択肢が1つしかない場合、それが良いものなのかをうまく判断できません。ですが、選択肢が2つ以上になった場合にやっと「これはこっちより安いからお得だ」というように、判断がしやすくなるのです。
年間プランに最適な割引率は何パーセント?
年間プランの方に割引をすると良いということは分かっていただけたはずです。では実際に年間プランにどのくらいの割引を適用したら良いのでしょうか。これは年間プランを用意する際に悩むポイントだと思います。そこで少し事例を紹介しながら、実際に市場でどのくらいの割引率が使われているのかを見ていきましょう。
英語圏の会員制サイトでよく見るのは、年間プランを月額プランの10倍に設定する方法です。例えば月額39ドルに対して、390ドルの年間プランを用意するようなケースです。2ヶ月分が無料と言い換えることもでき、とてもわかりやすいです。これは割引率にすると約17%の割引になります。年間プランを月額プランの10倍にする場合には、常に17%の割引になるということを覚えておいてください。
これは実際にスポーツ心理学者のEddie O’Connorの会員制サイトで使われている価格設定です。彼の会員制サイトはアスリートたちに自分たちのパフォーマンスを最大化する方法を教えています。
若手作家たちを支援するThe Young Writerでは、月額47ドルで年間プランの割引率を20%にしています。この20%前後の割引率はオンライン上でよく見られる数字です。僕が使っているオンラインツールのDeadline FunnelやZendeskなども年間プランに約20%の割引を適用しています。
女性のビジネスを支援しているJennifer Allwood(ジェニファー・オールウッド)の会員制サイトも同じくらいの割引率を使っています。もともと月額67ドルで年間にすると25%の割引です。25%の割引は3ヶ月分を無料にするのと同じです。実際に彼女のサイトでも「年間プランにすると207ドルが節約できるので3ヶ月分が無料です」と謳われています。
次に紹介するのは33%という割引率です。つまり元値の3分の2の価格です。これも多くのところで使われている数字です。ビジネスのエッセンスを教える動画コースを提供するMixergy(ミクサジー)もその1つです。
月額49ドルの会費は、年間プランにすると33%割引で参加することが可能です。他にも僕が使っているオンラインツールのZapierやTeachableなどもこの33%を採用しています。
ちなみに超有名どころのサブスクリプションサービスはどうでしょうか?Adobe Creative Cloudは7%、Apple Musicは17%、Officeが使えるMicrosoft 365も17%、Amazonプライムは18%、Dropboxは20%といった形で割引率を適用しています。このように一般的には年間プランに17%〜33%ほどの割引をつけるサイトが多くなっています。
課金方法4:買い切り価格(ライフタイムアクセス)
次に紹介するのは買い切り価格です。これは1度の決済でずっと会員制サイトにアクセスすることができる価格プランです。1回の決済で生涯ずっとアクセスできるという意味で、ライフタイムアクセスとかライフタイムオファーと呼ばれることもあります。
ただし厳密に言うとこれは、会員制サイトというよりもただのオンラインコースという方が正しいです。会員制サイトは継続的な課金しながら、新しいコンテンツを会員に与え続けるビジネスモデルだからです。もし買い切り価格を使って1度だけの課金で終わらせてしまうと、その後コンテンツを更新し続けるのが大変になります。
なので、注意して使う必要があります。もしこの買い切り価格を使う場合には、あなたが提供するサービス内容を慎重によく考えてください。課金が1回限りであっても継続的に提供できるサービスだけをお客さんに約束してください。またこの買い切り価格の場合には、あなたが十分に利益を得られる価格に設定することをおすすめします。
会員制サイトと名乗っているサイトの中で、Pull-Up Academyはこの買い切り価格を提供しています。Pull-Up Academyは、懸垂ができる体にするための会員制サイトです。179ドルで買い切りですが、毎月新しいヒントのレクチャーが追加されます。また自分の懸垂にチャレンジする姿を動画に撮って送ると、1人1人フィードバックを返してくれます。
課金方法5:初期費用プラン
次に紹介するのは初期費用プランです。これはすごく珍しい価格設定の方法です。会員制サイトに参加するにあたってまず初期費用として入学金のようなものをとります。その上で2ヶ月目から月額費用を請求していくと言う仕組みです。なかなかお目にかかりませんが、実際に採用しているところが存在します。
小売業の実店舗オーナーにビジネスの方法を教えているWendy Battenは、自身の会員制サイトにこの初期費用プランを採用しています。彼女の会員制サイトに入るには、まず597ドルの入学金を払います。そして2ヶ月目から月57ドルを支払っていきます。それ以降は会員制サイトをいつ解約しても構いません。
このモデルを採用するメリットは何でしょうか?もし何らかの理由で、あなたが新規会員に対して初期コストを掛けなければならない場合、この初期費用プランを使って帳尻を合わせることが可能です。たとえば新規で入った人には、教育のために頻繁に個別コーチングをしなければならない場合などです。こういった場合、最初に月額料金よりも高い初期費用を課金しておけば、あなたが初月から損をするのを回避できます。
課金方法6:お試し付きプラン
次はお試しプランを紹介します。これは初月の料金だけを通常より安くする方法です。これも多くのサブスクで使われている手法です。初月半額や初月無料がその良い例です。7日間無料などと、通常より短い期間に区切ってトライアルを提供するところもあります。この方法のメリットは、実際に会員制サイトに入って試してみようと思ってもらえることです。つまり敷居が下がります。
例を出しましょう。HerbMentorでは、ハーブによる代替療法のやり方を教えています。彼らの価格設定は3つあります。1つは月額15.99ドルの月額プランです。もう1つは年間97ドルの年間プランです。そして最後は1週間だけたった1ドルで体験できる、トライアル価格です。お試し期間を1ヶ月とせずに1週間という短い期間で提供しています。
オプション1:オーダーバンプ
ここからはこれまで紹介してきた課金方法と組み合わせて使える方法を紹介します。最初はオーダーバンプを紹介します。これは初回の決済時に別の商品をクロスセルする方法です。例えば「ちなみにこんな便利なレクチャーコースがあるけど、ついでに一緒に買いませんか?」とオファーすることです。
オーダーバンプを導入すると1人の顧客価値が上昇します。ここでのポイントは決済ページでチェックボタン1つで追加購入できるようにしておくことです。簡単に追加購入しておくようにすることで、メインの商品と一緒に購入してもらえる確率はグッと高まります。またメインの商品のテーマに近づけること、このページ限定での価格にすることも成約率をアップさせてくれます。
僕もよくこのオーダーバンプを使って商品をクロスセルします。そうするとだいたい34%くらいのお客さんが追加商品も一緒に購入してくれます。ワンクリックで手軽にカートに追加できるので追加購入の敷居はずっと低くなります。もしお客さんが商品を追加しなかったとしてもあなたが失うものはありません。もし可能ならぜひオーダーバンプを付けてみてください。
具体的な事例を見てみましょう。美容の専門家たちにビジネスの方法を教えているTara Walsh(タラ・ウォルシュ)の会員制サイトを見てみます。決済ページまで行くと、37ドルのオーダーバンプが出てきます。中身はSNS投稿用の画像と文章テンプレートです。通常の月額59ドルに加えて、初回だけ37ドルのクロスセルをして収益を増やしています。
また失恋した女性の立ち直りを支援しているGinger Deanも同じようなオーダーバンプを使っています。決済ページで彼女は197ドルの一括決済の商品をオファーしています。内容は失恋から立ち直った後にさらに強い女性になる方法です。通常の月額が37ドル、オーダーバンプが197ドルです。これは月額料金と比較してオーダーバンプの金額が大きいパターンです。
オプション2:グランドファザー・プライシング
最後に紹介するのは、会員制サイトの初期に参加してくれたメンバーを優遇する課金方法のオプションです。初期メンバーには割引価格を提示し、後から参加するメンバーには通常価格を提示します。これによるメリットは2つあります。まず1つは、会員制サイトの初期メンバーには割引価格を提示するので、初期にメンバーが参加しやすくなることです。
グランドファザー・プライシングというのは英語のグランドファーザー、おじいちゃんの意味です。つまり、おじいちゃんが昔安く買えた会員権を未だに持っている。そういうイメージです。そのため英語圏ではGrandfather PricingやGrandfatheringと呼ばれたりしています。初期メンバーへの割引だけでなく、価格改定のたびに既存顧客に据え置き価格を提供する企業もあります。
もう1つは、初期メンバーが途中で解約しにくくなることです。初期メンバーは割引価格で参加できていますが、一旦解約してしまえば再度その価格で入ることはできません。つまり、自分の特権をなかなか手放したくないと考えます。人間には損失バイアスというものがあるので、得ることの喜びより失うことへの恐怖が勝るようになっています。その結果、初期メンバーの解約率を下げることができるわけです。
まとめ:それぞれの特徴を理解して会員制サイトの価格を設定する
ここまで課金方法の種類とその特徴を事例とともに見てきました。最後に要点を8つにまとめました。
- 月額プランは、毎月一定の金額を課金する方法である。参加しやすい反面解約も容易である。
- 年間プランは、1年分の会費を前もって1回で課金する方法である。キャッシュフローが改善するが、月額プランよりも参加の敷居は高くなる。そのため月額プランと併用し、年間プランに割引を適用することで年間プランの方を割安に見せるとよい。一般に年間プランの割引は17%〜33%が多い。
- 買い切り価格は、1回の決済で生涯ずっとコンテンツにアクセスできるようにする課金方法である。定期課金ではないため継続的にサービスを提供する場合は、労力を考えて価格を設定する必要がある。
- 初回のみ高額な初期費用を課金し、その後月額プランに移行する課金方法も存在する。新規顧客が入るごとに初期コストが掛かる場合には、この方法でその初期コストを吸収することが可能である。
- トライアル期間のみお試し価格として課金方法も存在する。初月を無料化したり割引を適用する。また期間を1週間など、通常の課金サイクルより短くすることも可能である。
- 追加の課金施策として、決済ページで追加商品をワンクリックで販売するオーダーバンプという方法が存在する。購入者が手軽に追加商品を購入できるため、容易に収益を増やすことが可能である。
- 会員制サイトの初期メンバーを割引価格で加入させ、以降の新規顧客には通常価格を課金する方法がある。グランドファザー・プライシングと呼ばれる。初期メンバーの加入率を上げ、彼らのその後の離脱率を下げることが可能である。