あなたは会員制ビジネスを立ち上げるにあたって、より多くの会員が長く継続してくれるトピックをどう選んだら良いか迷っていませんか?その選び方を4つの要素に分解して解説します。この4つの要素を把握すれば、メンバーがより長くお金を払い続けてくれる会員制ビジネスを作ることができるようになります。
定期課金の会員制ビジネスを立ち上げる際に、誰もが悩むことがあります。それは「会員がすぐに辞めてしまわないか?」という悩みです。せっかくサブスクリプション・ビジネスを作り、コンテンツを用意したとしてもお客さんがすぐに辞めてしまってはビジネスとしての旨味はありません。なぜなら、サブスクビジネスは毎月毎月お客さんがお金を払ってくれることで、収益が安定するビジネスモデルだからです。お客さんに継続してもらうために、どんなことを考えたら良いのか?それを明らかにしていきます。
顧客に継続課金を促す4つの要素
お客さんにできるだけ長く会員制サイトに居続けてもらうには、まずそこで扱うテーマが大事です。悩みが深いけれど、解決策が分かったら一瞬で解決してしまっては定期課金は長続きしません。逆に解決まで時間が掛かるけど、お金を払うまでもないと判断されてしまえば収益を上げることはできません。
これらを一気に考えようとすると大変です。そこで4つの要素に分解して考えてみることにします。その要素とは次の4つになります。
- 要素1:多くの人が頭を悩ませている問題
- 要素2:すでにマーケットが存在するトピック
- 要素3:継続的に身に着けたいと思える習慣
- 要素4:時間が掛かっても身につけたい技術
これらすべてを満たすというのは難しいかもしれません。ですが、出来るだけ多くの要素を満たすことであなたの会員制サイトは継続的に収益を上げ続けることができるはずです。それでは、これら4つの要素を詳しく見ていくことにしましょう。
要素1:多くの人が頭を悩ませている問題
まずは悩んでいる人が多いという部分が大事になります。ビジネスの基本は見込み客の悩みの解決です。この悩みが深ければ深いほど、人々はお金を払う傾向が強くなります。コピーライティングの分野にHARMの法則というのがあります。これは人間の悩みを4つに分解したモデルです。
- Health:健康
- Ambition:夢、キャリア
- Relation:人間関係、恋愛
- Money:お金
人間の悩みというのは一見するとたくさんの種類があるように見えます。ですがこのようにある程度、タイプごとに分かれています。例えば健康は美容と言い換えることもでき、どの年齢の人でも大きな悩みを抱えやすい分野です。
Lauryn Bryght(ローリン・ブライト)のケースを紹介しましょう。彼女は栄養士で、栄養関連の会員制サイトを運営しています。彼女は糖尿病を防ぐための低炭水化物レシピを教えています。彼女がこのビジネスを始めたのは、自身の過去の経験がきっかけでした。栄養士として忙しい毎日を送っていましたが、一方で自分の栄養や運動などの健康に気を配る余裕がありませんでした。
そして医師から高血圧と診断され、一生薬を飲み続けるよう指導されました。ショックを受けた彼女は必死な思いで食事を変え、43キロもの減量に成功しました。その経験を活かし、今では米国CDC疾病管理センター公認の糖尿病予防コーチとして活動しています。これは健康に関する人々の悩みに根ざしたものです。
人間関係も深い悩みの種です。エストニア人のTanel Jäppinen(タネル・ヤピネン)は人間関係の悩みを会員制ビジネスにしています。Tanelが扱っているのは育児の方法です。幼い子どもを持つ親たちに対して、イライラせずに穏やかに子育てする方法を教えています。つまり子供が感情的になったときに、親が感情的にならずに彼らを見守れるか?ということを教えています。
例えば参加者は子供の脳の発達を理解し、子供の感情を爆発させるときに子供の脳内で何が起こっているのかを学びます。子供についての理解が深まるにつれて、親がどういう立ち位置で子供と接すれば良いかがわかるようになっています。また、親自身にも個々人によって別の行動パターンが存在するので、それを理解することでさらに子供との関係性がよくなるようです。
ちなみに彼は忙しい子育て世代のために、「読書クラブ」という本の要約サービスも展開しています。これは子育てや仕事に忙しくても、親としての自己啓発を欠かしたくない人のためのサービスです。月額15ユーロで毎月新刊本の要約と、実践用ワークシートがPDFで手に入ります。また会員専用のPodcastや会員同士のチャットコミュニティも付属しています。子育て世帯にターゲットを絞ったとてもユニークなサービスです。
このように悩みが深い、または悩んでいる人が多いトピックに対してお金が支払われます。悩みを解決するという側面から会員制サイトのトピックを選ぶ方法も1つです。
要素2:すでにマーケットが存在するトピック
2つ目の要素は、すでにマーケットが存在しているトピックを選ぶことです。これは単に需要が存在するというだけでなく、実際に商品やサービスにお金が支払われていることが重要です。
例えば毎日着る洋服をどう選んで購入するか?という悩みを抱えている人は少なくないはずです。ファッション雑誌だってずっと昔からあります。ただし、洋服の選び方に関するサブスクや会員制サイトは英語圏を含めあまり見たことがありません。こういった商品やサービスがほとんど無いトピックは収益化が難しい可能性があります。すでにある程度実績があるトピックを選ぶ方が失敗の確率は低くなります。
ファッションであっても、例えばエアークローゼットのようなサービスは上手くいっています。エアークローゼットは、日本の洋服の月額レンタルサービスです。月額1万円ほどで借り放題のプランがあります。毎回プロのスタイリストがコーディネートした服を送ってもらえるので、服を選ぶ手間が省けます。
こういったプロがセレクトしてくれた商品が毎月届く仕組みをサブスクリプションボックスと呼びます。サブスクリプションボックスは特に英語圏で人気のあるサービスです。毎月異なる商品が届きます。
例えばコーヒーのサブスクであるAtlas Coffee Clubがあります。これは毎月違う地域で生産されたコーヒーが届きます。厳選されたコーヒー豆が焙煎されたばかりの新鮮な状態で届くものです。英語圏にはこういったサブスクリプションボックスという仕組みのサブスクが無数に存在します。
言語学習も月額課金のサービスがたくさんある人気のあるトピックです。例えばオンライン英会話、これは世界中の英語講師とオンラインで英会話を学べるものです。日本でもレアジョブやDMM英会話など月額制で英会話レッスンができるサービスがたくさん存在します。
また言語学習のアプリもたくさんあります。僕はよくDuolingoを使って外国語を勉強します。無料版と有料版があり、スキマ時間に言語習得できるのですごく便利です。僕はトイレの中、子供のお迎えの待ち時間、サウナの中など暇を見つけてはDuolingoで言語を学ぶ習慣が出来上がっています。このようにすでに他社が参入して、お金が流通している分野を選ぶこともギャンブルを避けるために重要です。
要素3:継続的に身に着けたいと思える習慣
3つ目の要素は、人が「いつかは習慣化したい」と思っていることです。運動などがその典型例です。多くの人が「運動しなきゃ」と頭の中で唱えていますが、実際に習慣化できていません。習慣化するには、やり方のガイダンスや継続しやすい環境が重要だからです。
習慣化が必要な会員制サイトが有利な理由の1つは、習慣化までに時間が掛かることです。習慣はすぐに変えられません。変えるには一定の時間が必要になってきます。ユーザーは習慣化までの間に毎月課金し、習慣化しようと取り組みます。これがすぐ解決してしまうものであれば、1ヶ月の課金で終わってしまいます。
また習慣化できたとしても飽きるのを防止したり、継続するのに工夫が必要な場合も同様です。例えば瞑想を例にとりましょう。瞑想を習慣化できたとしても、ずっと瞑想を続けているとどこかで飽きてしまったりします。人はそういう時のために、サブスクを利用します。
例えば瞑想アプリのHeadspaceを使うと、ガイド音声つきの瞑想プログラムをたくさん見つけることができます。朝起きたときにやるプログラム、集中したいときにやるプログラムなどです。また寝る前にやるプログラムや、夜中に起きて眠れないときのプログラムまであります。こういったサービスの助けを借りて習慣が継続できる場合、ユーザーは喜んでお金を払い続けてくれます。
これは筋トレ、ヨガなどのアクティビティと似ています。習慣にしたいけどなかなか続かない。筋トレならば、種目のバリエーションを増やすためにいちいち調べる必要があるのは面倒です。こういった面倒を回避しつつ、スムーズに習慣をサポートできるようなコンテンツが提供できると会員制サイトとして利用されやすくなります。
要素4:時間が掛かっても身につけたい技術
最後の要素は、時間が掛かっても習得したいと思えるようなスキルや技術です。例えば楽器演奏や、プログラミング、写真撮影のスキルというものです。これらは時間が掛かるという点では、先程の身につけたい習慣に似ています。ですがこちらは、楽器が弾けるようになるとか、プログラミングでWEBツールが作れるようになるといったスキルの習得を指しています。
スキルは、少しずつ上達したり改善されていきます。そのため時間が掛かります。スキルがすぐに習得できてしまうものは、サブスクを解約されてしまうのでよくありません。そのため上達にある程度の時間が掛かることは、ビジネスという観点から重要なことです。ですが、習得してしまえばずっと使えるので頑張って習得したいと思ってもらえるわけです。
Kasey Hopeの会員制サイトを紹介します。Kasey Hopeは実店舗のアートスタジオを経営する元教師です。パンデミックで一時的にアートスタジオを閉鎖しましたが、運良くオンラインに会員制サイトを持っていました。彼女の主催する会員制サイト「レタリングクラブ」はパンデミックの中でも会員を400人から1000人に増やすことができました。レタリングとはカリグラフィーの一種で、文字をキレイに装飾するようなアートのことです。
またパンデミックの最中にリリースした子供向けの会員制サイトでは会員数を500人集めることに成功しています。「キッズクラブ」と呼ばれるこのサブスクは5歳〜13歳の子供向けのものです。毎週新しいアートレッスンが公開され、毎月有名な画家の作品を研究するためのレポートも届きます。また毎月自宅に物理的なステッカーやポスターなども届くので、飽きずに継続することができるようになっています。
このように文字をきれいにデコレーションしたい、絵が上手になりたいというのも強いニーズの1つです。このように時間が掛かっても習得に値するようなスキルは、会員制サイトのトピックとして非常に強いわけです。
まとめ:サブスクの特性に適したトピックを選ぶ
ここまで、会員に価値を提供しながらいかに会員の離脱を防ぐべきか?それをトピック選びという観点から見てきました。最後に要点を5つにまとめます。
- 悩みの多いトピックにはお金が流れやすい。
- すでに他社がサービスを展開して成果につながっているなど、実際にお金が流通しているトピックは課金されやすい。
- 瞑想や運動など習慣化したいと思われているトピックは、継続的な課金が見込める。
- 時間が掛かっても習得したいと思えるスキルも、継続的に課金される確率が高い。
- 会員制サイトビジネスにおいて継続的に課金されることは、ビジネスの成功に重要な要素である。